不動産鑑定士による財産分与時の不動産鑑定②

財産分与時に不動産鑑定士による不動産鑑定を利用することは、不動産の適正価格を算出し、夫婦双方が納得できる形で財産分与を行う上で有効です。以下に不動産鑑定士の役割や、鑑定の具体的なプロセス、鑑定額がどのように評価されるかについて説明します。

1. 不動産鑑定士による評価のメリット
公正かつ客観的な評価
不動産鑑定士は、国家資格を持ち、専門的な知識と経験に基づいて評価を行います。鑑定士による評価は公正であるため、双方が納得しやすく、争いを避ける一助となります。

市場価値に基づいた精緻な価格算定
鑑定士は物件の立地条件、建物の状態、周辺相場、経済状況などさまざまな要素を考慮して市場価値を算出します。市場での実際の売却価格に近い評価額が得られるため、分与後に不動産の売却を検討している場合に有効です。

複雑な物件の評価が可能
共有持分がある場合や、特殊な用途の不動産（商業ビル、土地付きの特殊物件など）の場合、一般的な評価方法では正確な価格が出しにくいことがあります。このような場合に不動産鑑定士が行う評価は特に有用です。

2. 鑑定のプロセス
不動産鑑定士による評価は、通常次の手順で行われます。

依頼・ヒアリング
鑑定依頼者から不動産の基本情報をヒアリングし、鑑定の目的（財産分与など）や対象不動産の詳細な条件を確認します。物件の法的状態（権利関係、地目など）も重要です。

現地調査
鑑定士が物件の現地調査を行い、建物の状態や周辺環境を確認します。周辺の取引事例なども参考に、物件の位置や日当たり、周辺環境といった要素が価格に与える影響を評価します。

評価手法の選定
物件の特性や鑑定目的に応じて、以下の評価手法を組み合わせて評価を行います。

取引事例比較法: 周辺地域の類似物件の取引価格を基にした評価法
原価法: 建物を再建築する場合の費用に減価償却を加味した方法
収益還元法: 賃貸収益や将来の売却価値を基にした評価法（収益物件に有効）
鑑定評価書の作成
評価額とその根拠をまとめた鑑定評価書が作成され、依頼者に提出されます。この評価書には、評価に用いた方法や周辺事例、具体的な価格の算出根拠などが詳細に記載されています。

3. 財産分与での活用
財産分与時に不動産鑑定士の評価を活用することで、以下のようなメリットが得られます。

双方が納得しやすい分与額
不動産鑑定士の評価は公的な裏付けがあり、第三者の目線から適正価格が示されるため、夫婦間での争いや感情的な対立が生じにくくなります。

法的な信頼性がある
鑑定評価書は、法的な信頼性があり、裁判所でも根拠資料として提出できます。財産分与に関する調停や裁判においても重要な役割を果たすため、トラブルを避けるための強力なサポートとなります。

まとめ
不動産鑑定士による評価は、公正で信頼性のある評価を得るために有効です。特に高額な不動産や複雑な権利関係のある物件では、鑑定士の評価がトラブル防止の重要な要素となります。

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